日本国内には、メルセデス・ベンツ、BMW、ポルシェなど、左ハンドルの中古輸入車が一定数流通しています。これらをベトナムへ輸出できないか、という発想は自然です。ベトナムでは左ハンドル車が一般的であり、右ハンドル車よりも制度上の検討余地があります。
ただし、重要なのは「輸入できるか」だけではありません。実務上は、輸入後の総コストがベトナム国内の販売価格に合うかどうかが最大の論点になります。
輸入時に見るべき主なコスト
中古乗用車をベトナムへ輸入する場合、CIF価格を起点に、輸入関税、特別消費税、VATなどが積み上がります。CIFとは、車両価格に保険料と運賃を加えた輸入時の基準価格です。
特に中古乗用車では、排気量やHSコードによって税負担が大きく変わります。輸入関税だけでなく、特別消費税が大きな負担になるため、排気量の大きい高級車ほど採算が厳しくなりやすい構造です。
簡易試算で見えること
たとえば、CIFが20,000USDの2.0L車両を想定すると、輸入関税、特別消費税、VATを加えた輸入段階の総額は、単純な車両価格から大きく膨らむ可能性があります。さらに、登録料、ナンバー取得、検査、通関・物流、保険、保証・整備、販売マージンが加わります。
3.0L級やそれ以上の車両では、特別消費税率がさらに高くなるため、日本での仕入価格が安く見えても、ベトナム到着後の販売価格では競争力を失うことがあります。
保証・整備も採算に影響する
中古車輸入では、税金だけでなく、保証と整備体制も重要です。輸入車を販売する場合、購入者は故障時の対応、部品供給、修理先を重視します。高級車ほど、販売後のトラブル対応が事業リスクになりやすくなります。
単発で輸入して終わり、というモデルではなく、現地での整備先、部品調達、保証範囲、初期不良時の対応ルールをあらかじめ整理しておく必要があります。
検討の進め方
- 対象車種を2、3車種に絞る
- 日本側の仕入価格、年式、走行距離、状態を確認する
- HSコード、排気量、税率、輸入条件を確認する
- ベトナム国内の同等車両の販売価格を調べる
- 登録料、検査、物流、保証、販売後対応を含めて採算を見る
左ハンドル中古車は、制度上の検討余地がある一方で、税金と販売後対応を含めると採算判断が難しい領域です。まずは具体的な車種を置き、車両単位で総コストと想定販売価格を比較することが現実的です。