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2026年9月15日

【続報】ベトナムの出国停止|解除通知は出国できる保証ではない

第1回の記事で、ベトナムの出国停止について、解除には税務当局と出入国管理当局の二段階があり、政令が定める「24時間以内」がそのまま所要時間になるとは限らないと書きました。その後の経過を報告します。

結論を先に置きます。税務処理を終えて解除通知を受け取っても、出国できるとは限りません。

税務側の手続きは完了した

必要な申告と納付をすべて終えた

第1回で取り上げたのは、数年前にベトナム法人を畳んで帰国したはずの日本人経営者が、再入国時に出国停止対象者であると告げられたケースです。その後、管轄税務署の指示に従い、過年度の付加価値税申告、法人税確定申告、財務諸表、必要となる個人所得税申告をすべて提出しました。

発生したのは本税以外には事業税とその延滞金、そして申告遅延に対する行政罰です。金額は想定の範囲内に収まりました。

納税義務完了通知と解除通知を取得した

納付を終えた後、税務当局から納税義務の完了を示す通知と、出国停止の解除通知を取得しました。

ここで当事者は「終わった」と判断します。そして実際、税務側の手続きはこの時点で終わっています。

それでも空港で止められた

数営業日を置いても反映されていなかった

解除通知の発出後、数営業日を置いて空港へ向かいました。ところが出国審査で止められ、その日のうちに出国することはできませんでした。航空券は取り直しになりました。

その場で何が起きるか

この場面で何が起きるかは、あまり知られていません。交付された記録書から分かる範囲で記しておきます。

まず「出国一時停止に関する記録書」が作成され、本人の署名を求められます。記録は3部作成され、うち1部が本人に交付されます。今回の記録では、入管の副所長と当直職員に加えて、搭乗予定便の航空会社の職員が立会人として記載されていました。搭乗手続きを済ませた乗客が出国できなくなる以上、航空会社側にも処理が生じるためと思われます。ただしこれが常の運用かどうかは分かりません。

作成から完了まで数分程度です。署名を終えれば市内に戻ることができ、身柄を拘束されることはありません。この記録書は出国できなかったという事実の記録であって、何らかの義務を認めるものではありません。

書面には「納税義務未履行」と書かれていた

今回の件の本質です。

記録書が根拠として挙げていたのは、税務の政令ではなく、出入国管理法47/2014/QH13第28条第1項(51/2019/QH14により改正)でした。そして理由欄には「Tax obligation is not fulfilled(納税義務が履行されていない)」と記載されていました。

当事者は、納税義務の完了を示す通知と、出国停止の解除通知を持っています。それでも当局が交付する書面には「未履行」と書かれます。

第1回、出国停止の措置は税務当局と出入国管理当局の二層に分かれていると書きました。今回の記録書は、それが運用上の話ではなく、根拠法令の異なる別個の措置であることを示しています。税務側が完了しても、入管側の記載がただちに変わるわけではありません。

自分では確認する手段がない

税務当局は送信の記録を書面で出さない

解除通知が入管へ送信されたことを示す記録を、書面で発行してもらえないか税務当局に求めました。しかし対応してもらえませんでした。得られたのは「システムで自動的に反映される」という口頭の説明のみです。

一方、入管側は受領を確認できません。結果として、当事者の手元には、自分が出国できる状態であることを示すものが何も残りません。

正式照会は、期限がある状況では機能しない

入管への正式な照会も検討しました。ただしこの時点で滞在期限が迫っており、期限までに回答が得られる保証がありませんでした。

期限が近づくほど、正規の照会ルートは現実的な選択肢から外れていきます。これは制度の不備というより、照会に要する時間と滞在期限が競合するという時間の問題です。

第1回の記事で、条文上の「24時間以内」がそのまま所要時間になると考えるのは危険だと書きました。その中身がこれです。

残された選択肢

日数を置いて再挑戦する

弊社弁護士の結論は、確実な手段は「待って再度試す」以外にない、というものでした。

ただし何日待てば反映されるかは、誰にも言えません。そして試すたびに航空券が必要になります。

入管手続きに精通した現地業者を通じて確認する

滞在期限が迫っていたため、弁護士のネットワークを通じて、入管手続きに精通した現地の業者へ確認を依頼しました。

同日中の解決には至らず、当日の便には間に合いませんでした。夕方になって、弁護士から「入管の担当者に口頭で確認が取れた」との連絡がありました。伝聞であり、システムに反映されたかどうかは、この時点でも確認できていません。

翌日、当事者は出国できました。当事者からは、別室に案内されたうえで通過できたと聞いています。書面による確認がないまま、現場の判断で通されたことになります。

なお、業者への依頼によって処理が進んだのか、単に時間の経過によるものかは確認できていません。因果関係を示す資料はありません。

試行を前提に備える

航空券は取り直しになる前提で選ぶ

一度で出国できるとは限りません。そのため、試行回数を確保できるようにしておく方が結果的に負担が小さくなります。

近隣国への短距離便であれば安価に押さえられます。陸路国境は費用を抑えられる一方、往復の所要時間が長く、試行回数を稼ぎにくくなります。

サポートが動ける時間帯の便を選ぶ

止められた場合、その場で連絡が取れるかどうかが分かれ目になります。早朝や深夜の便では、支援する側が対応できません。

今回も、夜間の便でも出国できる状態だと伝えられましたが、あえて日中の便を選んでいます。何かあったときに弊社弁護士が動ける時間帯を優先したためです。

滞在期限から逆算する

残りの日数と、1回あたりに要する時間から、試せる回数が決まります。期限が近いほど選択の幅は狭くなります。

なお滞在期限を超過すれば、出国停止とは別に、入管上の問題が新たに生じます。この点は第1回の記事で触れたとおりです。

そもそもこの局面に入らないこと

今回の経過で最も重いのは、追徴額でも、空港で止められたことでもありません。解除通知を受け取った後も、自分では何も確認できない区間が存在するという点です。

税務当局は送信の記録を出さず、入管は受領を確認できず、当事者の手元には何も残らない。その状態で、航空券を取って空港へ向かうかどうかを判断することになります。

制度を批判したいわけではありません。送達先を失った会社に通知が届かないのと同じように、それぞれの当局が自らの所管の範囲で処理している結果です。ただ、当事者の側に取れる手段がほとんどないことは、知っておく価値があります。

そしてこの局面に入らない方法は一つしかありません。渡航前に確認しておくことです。国家企業登録ポータルで自分が関与した会社の活動状況と法定代表者の欄を確認し、閉鎖を依頼したのであれば税コード終了通知と企業登録抹消通知の現物が手元にあるかを確かめる。第1回の記事で挙げた三点に戻ります。

数分で終わる確認です。

第1回の記事: 数年前に閉じたはずの会社が原因に|ベトナム再訪時の「出国停止」に注意


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