「TRCがないと銀行口座は作れない」と言われることがありますが、法令がそう定めているわけではありません。実際には、パスポートとベトナムの携帯電話番号、メールアドレスがあれば普通口座を開設できる銀行があります。一方で、デビットカードや定期預金となると話が変わります。
決済口座にTRCの要件はない
決済口座の開設を定める通達17/2024/TT-NHNN(通達25/2025/TT-NHNNにより改正)が外国人に求めているのは、パスポート等の身分証明書と、有効な入国ビザ、これに代わる効力を持つ書類、またはビザ免除を証明する書類です。ビザ免除での入国が条文上そのまま対象に含まれているため、日本人の45日ビザ免除はこの要件を満たします。
にもかかわらず断られるのは、銀行側の内部運用や担当者の判断によるものです。同じ銀行名でも、支店が変われば結論が変わります。
普通口座の段階でできること
ネットバンキングとQRコード決済が使えるようになるため、ベトナム国内での支払いと送金・着金は事実上ここで足ります。日本からWISEを利用してドンを受け取っている例もあります。
ただし顔認証の登録は避けて通れません。外国人は支店の窓口で対面の顔認証を済ませる必要があり、さらに1回あたり1,000万VND超、または1日の累計で2,000万VND超のオンライン送金には、その都度アプリでの顔認証が求められます。1,000万VNDは日本円で6万円弱です。
TRC・長期ビザがないとできないこと
| パスポートのみ | TRC・長期ビザあり | |
|---|---|---|
| 普通口座(ドン・外貨) | 一部の銀行で可 | 可 |
| ネットバンキング・QR決済 | 可 | 可 |
| 国内送金・着金 | 可 | 可 |
| デビットカード | 不可 | 可 |
| 定期預金 | 不可 | 可 |
定期預金は根拠となる法令自体が別です。通達49/2018/TT-NHNN第3条は、預入できる外国人個人を「6ヶ月以上の期間、ベトナムでの居住を許可された者」と定めています。TRCがあれば自動的に満たされる要件のため実務で意識される場面は少ないものの、TRCや長期ビザを求められる理由はここにあります。
定期預金の金利と税務
2026年8月時点で、6ヶ月定期の金利は主要行で年7%を超える水準にあります。個人がベトナムの銀行から受け取る預金利息には、個人所得税がかかりません。表示された金利がそのまま手取りになります。
ただし法人は別です。法人が受け取る預金利息は益金に算入され、法人税の課税対象になります。
条文の詳細や必要書類、銀行ごとの対応差、金利水準の内訳など、より詳しい内容は以下の記事にまとめています。
詳しくはこちら: ベトナムで銀行口座は作れるか。TRCなしでできること、できないこと(InfoBank)
ベトナムでの銀行口座開設・定期預金をご検討の方へ
口座開設の可否や必要書類、TRC取得との順序について、状況にあわせて整理します。