2026年8月13日、ベトナム政府は電子認証・電子ID(VNeID)制度を定める政令69/2024/NĐ-CPを改正する政令320/2026/NĐ-CPを公布しました。施行日は2026年9月28日です。
これまで、外国人がVNeID(個人電子IDアカウント)を取得するには、実務上、一時居住証(TRC)の保有が前提になっているケースが多くありました。今回の改正は、この前提を変えるものです。
変更点
改正後の規定(第7条)では、外国人については「ベトナムに合法的に入国している」または「合法的に居住している」のいずれかの状態であれば、電子IDアカウントの発行対象になると整理されました。TRCの保有は必須条件として明記されていません。
手続きの流れ(第11条)も具体化されています。
- 省級の出入国管理機関へパスポート(または国際的に有効な渡航書類)を持参
- 所定の申請書(様式TK01)を提出。携帯電話番号やメールアドレスなど、アプリに紐づける情報もあわせて申告
- 窓口で顔写真の撮影・指紋の採取を実施し、出入国管理データベースと照合
- アプリのダウンロード・初期設定について案内を受ける
処理期間は、出入国管理データベースに顔写真・指紋の情報がすでにある場合は2営業日以内、ない場合は5営業日以内とされています(第13条)。
なお、電子IDアカウントを持つ外国人は、空港等の自動出入国審査ゲートの利用対象にもなる旨が、今回の改正にあわせて整理されています。
実務上のメリット
制度の建て付けとしては、シンプルに前向きに評価できる改正です。
- TRC取得(数週間単位の滞在・パスポート預けが必要)を経ずに、VNeID取得という選択肢が生まれる
- 手続きがパスポート持参とTK01申請書の提出のみで、処理期間も最短2営業日と明記されている
- 自動出入国ゲートの利用対象になるなど、取得後の実利もある
現時点での留意点
一方で、現時点では制度の骨格が決まっただけで、実務上の運用がどうなるかは未知数な部分が多くあります。
- 今回の政令は改正の大枠を定めたものであり、窓口対応やオンライン申請の可否といった細かい運用は、施行までに整備される公安省のガイドライン待ちです
- 全国一律のスピード感で運用されるのか、省ごとに対応差が出るのかは、施行後でないと判断できません
- すでにTRCを保有している人にとって今回の改正が何を変えるのか、それとも「TRCなしでも取得できる選択肢が増えた」だけなのかは、条文上明確に読み取れません
まとめ
政令320号は、「TRCがなくてもVNeIDが取れる」という方向性自体は歓迎できる改正です。ただし施行日(2026年9月28日)まではまだ1ヶ月半あり、実務に落とし込むための細則がこれから整備される段階です。
施行後の運用状況やガイドラインが出次第、続報でお伝えします。
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